藤原宮跡のコスモス

奈良の藤原宮跡は大和三山といわれる畝傍山、耳成山、天の香久山。
大和の歴史を見守ってきた三つの山に囲まれた所に位置する。
藤原宮跡といっても殆んど何もない、だだっ広い単なる広場である。
中央に十数本の木が生えた小さな林がある。中には小さな祠があるだけ。
見るべきものは無い？
歴史に興味のある人にとってはたまらない場所なのかもしれないが・・・。
広場には朱色の柱が数か所に建てられている。
この場所に都の建造物があったという事なのだろう。

10月に入ったばかりのこの日は若干時期が早かったのだろうか、
まだコスモスは5分咲きといったところだ。
それでも結構多くのカメラマンが来ていて思い思いにカメラを構えていた。

コスモスは広場の真中ででさわやかな秋風に吹かれてゆれている。
すぐ側の朱色の柱がやけに目立つ。
うーん、どちらが主役なのかわからなくなってくる。
しかし違和感は全くない。
むしろ、とてもマッチングして溶け合っているのだ。 コスモスはとても優しい花である。 いくら群生して優位な立場であろうと必ず相手を立てる。
相手に合わせて出しゃばることはない。
そんな花だからこそ私たちはコスモスを愛するのだ。

朱色の柱とコスモス、広々とした風景、そして遠くに三山を配し、
何ともさわやかで居心地の良い景色をつくりだしている。
控えめでもどこか誇らしげに咲き誇るコスモスだからこそ・・・。